リスクにあなたは騙される ダン・ガードナー

カナダのジャーナリストによる、恐怖を利用した感情操作の本。
リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理
ダン・ガードナー、Dan Gardner、 田淵 健太 (単行本(ソフトカバー) – 2009/5/22)
とてもよかった。
日頃なんとなく、あるいは折に触れて思う、「何でこんな馬鹿みたいなことがまかり通っているんだろう?」という疑問を、心理学と社会現象の面から解き明かそうとする本。 プロローグからとっても共感できた。
原書は、The Science of Fear: How the Culture of Fear Manipulates Your Brain = 「恐怖の科学:なぜ私たちは恐れるべきでないことを恐れるのか…そしてより大きな危険に身を曝すのか」
このほうが中身をよく表していると思う。
日本語版の表紙には大きくRISKと書いてあって、原書もリスクというコトバを大きく出しているように見せているけど、そんなことはない。日本の出版社が、まさに「恐怖株式会社」の手法をとっているってことだな。
冒頭から、膨大な数の実例を紹介しながら、いかに人間が恐怖を呼び出す刺激に弱く、判断力をなくしてしまうか、ということを紹介。「頭」で考えれば正しい判断ができることでも、「腹」の無意識判断によって不思議なくらい理不尽な行動をしてしまう。
そしてその習性を利用する政治家や企業の手口を紹介。
結論としては、最終章のタイトル「第12章 結論―今ほど良い時代はない」のとおりで、僕たちが史上最高に幸せな環境に生きている、ということを確認して終わっている。 言外には、それなのにいわれのない恐怖を突きつけて搾取しようとする政治屋や企業がいっぱいいるから、なるべくそんなのに騙されず、幸せな時代の利益を享受しようよ、というメッセージがあるように感じた。

リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理
# 単行本(ソフトカバー): 478ページ
# 出版社: 早川書房 (2009/5/22)
# 言語 日本語
# ISBN-10: 4152090367
原著はJuly 17, 2008出版。
内容(「BOOK」データベースより)
テロ、死を運ぶ伝染病、環境を汚染する化学薬品、ネット上の小児性愛者…。ニュースでは毎日新しいリスクが報じられている。だが、本当にそのリスクは恐れるほどのものなのだろうか。
よく検討すれば、実はそれほど危険ではないリスクも多い。たとえば、ある年の暴力犯罪件数がこの十数年で最大の増加を見せたというさも恐ろしげなアメリカでの事例は、増加は実は数パーセントなのに、これまでの犯罪件数がずっと減少または横ばい状態だったことによる。また、癌の発生件数がこれから増加していくという不吉な予想は、癌の最大のリスク要因である高齢化の影響が大きい。
では、なぜそういうリスクにこれほどまでに影響されてしまうのか。私たちがどのようにリスクを判断しているのか、それによって企業、政治家、メディアに恐怖を操られてしまうのかを、多くの実例とともに解説する。